AMSHOUSE&FRIENDS

台風19号による川越市越辺川(おっぺかわ)堤防決壊によるボランティア水害救助活動記録

水害救助活動日時場所

令和元年10月13日午前11時から同日午5時30分(救助終了時間)
川越市下小坂612番地 特別養護老人ホーム 川越キングズガーデン

水害救助従事者

アムスハウス所属ラフティングガイド5名、民間山岳救助員1名、地方公務員有志1名

水害の状況

台風19号の大雨により10月13日午前1時頃越辺川堤防が決壊。同上ホームに濁流が押し寄せ周囲は水深1m~2mの濁水となり、高齢入所者及び従業員260名が孤立する。

冠水した道路

現場近くの道路。水没した車が多数。

救助活動の概要

アムスハウススタッフ5名及び支援者2名は、同日午後1時20分現場付近にラフトボート2艇を搬入し、入所孤立者のボートによる救助搬送を開始。午後1時40分から午後5時までの間、ラフトボート18回の航行により、入所者12名を搬送救助、物資(車椅子、毛布、ベットマット、非常飲料水、入所者流動食、紙おむつ、施設物品等)を搬送したものである。

現場携行資材

トヨタハイエース2台、ラフトボート(10人乗り)2艇、要救用ライフジャケット16着、スローロープ各自、ヘルメット各自、防水バック2、現場撮影用防水カメラ2台、パドル16本

活動に至る経過

普段より関東近県における水害が発生した場合には、ラフトボートを活用した人命救助、住民支援、物資搬送、公共機関員の搬送などの支援活動を想定準備していた。台風上陸前、台風通過翌朝13日に救助事案が合った場合、出動協力をする旨を連絡取り合う。
10月12日の台風19号による県内水害被災をテレビニュース放送などで知り、直ちに従業員を招集し資材を準備、車両二台で秩父郡長瀞町を出発し水害被災地へ急行。
先遣隊(民間山岳救助隊員)は、上記支援活動に先立ち、地方自治体の危機管理課を訪問し、ラフトボートによる救助及び支援活動を行うことを担当者に話したが、ボランティア受け入れ態勢が出来ていないことを理由に断られた。更に同地域管轄の警察署を訪問し、水害地への支援活動を申し出たが、警備課長から「ボートによる救助は不必要、ボランティア活動は市役所に訪問しなさい」とのことから、東松山地区における救助活動は終了しているものと判断し、新たな災害地である川越市下小坂地区の水害地支援を行うこととしたものである。

水害地までの経路

長瀞町を出発し花園インターから関越高速道路を目指したが通行止めであることから、国道254号線を南下し東松山インター付近において他2名と合流、川越市の水害地へ行く国道254号線は道路冠水のため途中で通行不能との情報を得ていたため、407号旧道を通行し川越市下小坂の水害地へ向かった。途中、道路冠水により警察官による通行止め規制が行われていたが、当方が水害支援ボランティアであることを告げると、現場警察官は快く進入を認め、東松山市内から川越市水害現場までは所要30分で到着することができた。これは、県内一帯が水害被害を受けていたにも関わらず、事前情報により迂回ルートを設定したことが幸いしている。

道路冠水

現場までは冠水した道路が数カ所。思い切って走りきり通り抜けたが停止してしまった車も多数あった。

ボランティア水害地支援活動の問題点

水害発生地を管轄する市町村・警察等の公共機関へ、ボランティア活動を打診しても「受け入れ準備が整っていない。窓口が違う。私の判断では答えらうれない」などの回答により承諾が得られない。これは、災害発生直後では公共機関もその体制が整っていないこともあり仕方ない事であると思うが、人命救助活動は一刻を争うものであるから、公共機関担当者は「自己の安全を確保し、出来る範囲でお手伝い願いたい。」この様な回答でボランティア集団は有効な活用ができるのではないかと感じる。

迅速な水害救助支援においては、人命救助を第一として被害甚大な現場や急速を要する現場へのボランティア集団の投入が必要であるが、公共機関がボランティア集団に対する情報提供を躊躇する場合が多い。個人情報保護法の浸透により被災家屋や被災地区の情報まで秘匿にしようとする傾向が見受けられるが、人命第一としてボランティア救助員へも被災地情報提供は積極的に行うべきと思う。

今回の現場支援活動において、消防署員が救助活動の現場指揮を行っていたが、ボランティア救助隊としてはその指揮下に入り活動支援することが有効と思い、消防指揮下に入ることを進言したが、指揮官から民間ボートには「要救助者は乗せない」との現場指揮官からの指示がなされた。当方の救助技術を知らない現場指揮官からすれば当然の判断である。しかし、当方のボートは消防救助艇より大きく、更に日没までに要救助者全員の搬送を考えれば一刻を争う事案で有る事から、災害現場における判断の難しさを感じた。その後、ボランティアは現地消防隊長に対し「当方、救助技術の熟練度と装備資材の安全性」を説明し要救助者搬送可否の判断を進言した。その後、現場隊長から「要救助者搬送の許可」がなされたものである。

特養ホーム入所の要救助者は、高齢と身体疾病により体が不自由である者が大半であり、ボートに乗船・搬送する場合、介添え者2名が不可欠でありボランティア乗船員が不足した。1艇に6名のボランティア員が必要であり、その補充を現場陸上で活動していた「埼玉県警関東管区機動隊指揮官」に要請したところ迅速に承認され、関東管区機動隊員4名が当方ボートに乗船し要救助者の介護を行い搬送速度は劇的にアップした。

ラフトボート艇内は常に水があることから、高齢と身体疾病がある者を乗船させる場合には、身体濡れ防止対策資材(バスケットストレッチャー)を携行すべきであった。

多数のボランティアボートで活動する場合には、無線機を携行しお互いの連携を密にすれば更に有効であると感じた。

活動詳細

1号艇(乗船者4名)
13時55分~14時20分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(ベッドマット)をボートに積載し、隣接の別棟ホームまで輸送。
14時21分~14時26分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(車椅子4台)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
14時28分~14時35分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(マット、非常水)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
14時39分~14時45分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(マット7枚)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
15時12分~15時20分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(マット7枚)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送
15時35分~15時45分 救助輸送
入所者高齢女性1名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、3名で漕いで400m離れた陸上まで輸送
16時00分~16時10分 救助輸送
施設職員女性1名陸上からホーム職員をボートに乗船、5名で漕いで400m離れた施設まで輸送。
16時15分~16時30分 救助輸送
入所者高齢男性1名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、3名で漕いで400m離れた陸上まで輸送
16時50分~17時00分 救助輸送
入所者高齢女性2名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、3名で漕いで400m離れた陸上まで輸送
救助活動3回4名 人員搬送1回1名 資材輸送5回

搬送救助の模様

1号艇の救助の模様。歩行ができない方が多く1艇1名単位で搬送した。

2号艇(乗船者3名)
13時55分~14時15分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(紙オムツなど)をボートに積載し、隣接の別棟ホームまで輸送。
14時20分~14時28分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(車椅子4台)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
14時30分~14時38分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(流動食、マット、非常水)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
14時39分~14時45分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(流動食、マット、非常水)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
15時12分~15時20分 資材の輸送
孤立した特養ホームから、入所者の療養資材(マット、非常水)をボートに積載し400m離れた陸上まで輸送。
15時35分~15時45分 救助輸送
入所者高齢女性1名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、4名で漕いで400m離れた陸上まで輸送。
16時00分~16時10分 救助輸送入
所職員男性2名入所施設職員2をボートに乗船、5名で漕いで400m離れた陸上まで輸送。
16時15分~16時30分 救助輸送
入所者高齢男性1名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、4名で漕いで400m離れた陸上まで輸送。
16時50分~17時55分 救助輸送
入所者高齢女性2名入所者と車椅子をボートに乗船、身体不自由者のため警察官2名が専属介護し、4名で漕いで400m離れた陸上まで輸送。
救助活動4回6名 資材輸送5回

2号艇の模様。車椅子なども運ぶ。

2号艇の模様。車椅子なども運ぶ。

補足

本文は同民間山岳救助員である飯田雅彦氏の報告書より引用。
一部、株式会社アムスハウス編集による添削、変更、加筆があります。
こちらの案件に置ける、取材、情報開示等は積極的に行なっていきます。
公開媒体等のチェックを行いますので無断での引用、複製掲載はご遠慮いただきます。

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