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TOP ブログ 【開催レポート】パックラフトレスキュー講習 in 長瀞(2024年5月11日)

【開催レポート】パックラフトレスキュー講習 in 長瀞(2024年5月11日)

未分類

1. はじめに|なぜ今、パックラフトにレスキュースキルが必要なのか?

パックラフトを手に入れて、「自由に川を下ってみたい」と夢見ている方は多いはず。確かに、パックラフトは手軽に始められるアクティビティのひとつです。しかしその手軽さゆえに、自分のスキルや知識が及ばない状況に直面することも少なくありません。

たとえば、仲間が流されたら?
転覆してパニックになったら?

安全にパックラフトを楽しむには、「もしも」に備えた知識と対応力が必要です。

今回の講習では、初心者から経験者までを対象に、川のリスク認識からセルフレスキュー、仲間との連携まで、実践的なレスキュースキルを徹底的に学びました。

コラム:パックラフトに潜むリスクとは?
パックラフトは、その携帯性と自由度の高さから、多くの人にとって魅力的なアクティビティです。しかしその反面、特有のリスクが存在することを忘れてはいけません。中でも注意すべき重大リスクの一つが「エントラップメント」です。

エントラップメントとは、川の中にある障害物(岩、倒木、人工構造物など)に身体の一部や装備が引っかかり、流れの圧力——いわゆる「動水圧」によって水中に拘束されてしまう状態を指します。
この状況に陥ると、自力での脱出は困難で、対応が遅れると命に関わります。

エントラップメントの怖さは、水量や環境によってその危険度が大きく変わるにもかかわらず、事前にそれを正確に判断することが非常に難しいという点にあります。言い換えれば、"起こってみないとわからない"リスクの重大さなのです。
だからこそ、「どう助けるか」よりも「どうならないか」——予防こそが最大の対策です。

また、もうひとつ見落とされがちなリスクが「遭難」です。
特に川沿いに道路が通っていない区間や、山深いエリアでは、陸上からのアクセスが限られるため、何かあったときに外部との連絡が取れず、長時間孤立するリスクが高まります。そうなると低体温や撤退困難による衰弱などウィルダネスリスクが増大します。
“ウィルダネス”環境に入るという選択は、そのぶん高い自律性と準備力が求められます。

パックラフトは冒険性に満ちた道具です。だからこそ、そのリスクを理解し、適切に備えることが、安全で楽しい川旅への第一歩となります。

2. 講習概要

  • 開催日:2024年5月11日
  • 場所:埼玉県・長瀞エリア
  • 天候:快晴
  • 参加者数:5名(主にダウンリバー経験者)
  • 装備状況:基本的な装備は保有。内容にやや差あり。
  • 使用装備:パックラフト装備一式、個人装備、スローバッグ等

3. 当日の流れと実施内容

午前|座学・ドライワーク

アムスハウス施設内での講習風景
  • パックラフトに潜むリスクの理解
  • セルフレスキューにおける判断の優先順位
  • 流水の基本特性(川の力を知る)
  • 見落とされがちな専用装備の盲点

午後|実技トレーニング

  • リバースイミング(流れを体で体感)
  • 転覆時のスイミングと対応
  • 漂流者の安全な救助
  • ダウンリバー時を想定したシナリオトレーニング

コラム:セルフレスキューとは?

「セルフレスキュー=自分自身の安全確保」。
これは水上アクティビティにおける最も基本で、重要な考え方です。
しかし今回の講習で伝えたかったのは、単なる“自己防衛”ではなく、「セルフレスキュー・ファースト」という姿勢です。

自分を守れない人に、他人を救うことはできない

川で誰かがトラブルに陥ったとき、助けたいという気持ちは自然なことです。
ですが、無準備や無計画のまま飛び込めば、自分自身が二次災害の当事者になってしまいます。
「まず自分が安全であること」は、自己中心ではなく、チーム全体の安全を守るための第一歩です。

安全を確保できる人の条件とは?

  • 事前準備:ダウンリバー計画、バックアップ計画、必要機材の洗い出し
  • スキル:パドリング、リカバリーなどとそれに必要なフィジカル
  • 機材:適切な装備を適切に使いこなす知識と習熟
  • メンタル:冷静に状況を捉え、焦らずに行動できる心の準備

これらが備わってこそ、安全に川を楽しみ、他者を支える存在になれます。

“自分のレスキュー”が、誰かのレスキューにつながる

セルフレスキューは、「自分が助かる」ためだけの技術ではありません。
それは、他者への負担を減らし、必要なときに冷静に行動できる“準備のある人”になることです。

「遊ぶ責任」と「助ける準備」は同じライン上にあります。
どんな川でも、自分自身の安全がスタートラインであることが大事です。

印象的だったポイント

参加者の多くが「スローバッグを使うのが初めて」とのこと。
購入しただけの状態ではすぐに使えるものではなく、練習が不可欠だという気づきを得ていただけました。また、装備のフィット感の重要性についても、転覆時の体験を通じて強く実感されたようでした。

4. 講習を通じて伝えたかったこと

川を楽しむ私たちは、遊びと安全を両立させる力が求められます。
特に、エクストリームスポーツではより難しい場所を目指す傾向がありますが、それに見合うスキルや判断力を身につけることは不可欠です。

「自分は大丈夫」ではなく、
「万が一のときに、自分でどう対処するか」。

自然を相手にする以上、川に勝つことはできません。
だからこそ、しっかりと準備し、リスクを見据える目と行動力を身につけてほしいと願っています。

5. 次回開催・関連情報

🗓 次回講習日:2024年6月8日(土)
📍 詳細・お申し込みはこちら
https://amshouse.co.jp/packraft/#RQ

🔍 関連講習:BWR(Basic Water Rescue)
より本格的なレスキュー3公認講習にも挑戦できます。
こちらもぜひチェックしてみてください!

6. おわりに|講習を通じて感じたこと

これまで主に消防士などの職業救助者向けに講習を行ってきましたが、今回のような「パックラフト愛好者」に向けた講習のニーズも、今後さらに拾い上げていく必要があると実感しました。

川で遊ぶすべての人に、「自分を守る力」を。
今回参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

そして、この講習を広めてくださったマキマキさんに心から感謝!

投稿者プロフィール

Taku
Taku
Rescue3(水難救助)インストラクター
ラフティング協会公認マスターガイド
川での事故を無くすために日々奮闘!