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急流救助講習レポート|茨城県立消防学校編

レスキュー・安全管理

7月27日、28日と茨城県立消防学校の救助課程、水難救助課程そうぜい66名に対して、川の救助に関する講義と実技ワークショップを行いました。今年までに10年以上続く、名誉あるお仕事です。真夏の天気の中、屈強なおとこたちと川をがっつり泳ぎました。

何故!?救助のプロである消防士さんが講習を受けるのか?

消防士さんの主な仕事は「消火活動」「救急活動」「救助活動」の3つです。 消火活動は消防車で火災現場に駆けつけ、消火を行う仕事、救急活動は救急車で急病人やけが人を病院に搬送する仕事、救助活動は事故や災害で脱出できなくなった人を救助する仕事です。 専門部隊を擁している消防機関をあれば、地方自治体が管轄する消防組合などは3つの仕事を兼務する場合もあります。数ある消防士さんの出動機会の中でも水難事故は発生件数は少なく(下記総務省消防庁の資料参照※河川での水難事故に限らず)それでいて河川での水難事故は発生するとセンセーショナルにメディアが世の中に印象づけます。多忙を極める各消防機関がそのノウハウを貯め、対策として反復練習を行う時間が限られるわけです。また管轄地域に急流河川がない場合も多く、地域限定で見れば発生頻度はさらに下がります。
そこで我々の出番です。業務でもプライベートでも川にいることが多く、川の流れを読むことが我々の業務の必要スキルでもありますから、そのノウハウを救助を行う方々に還元している形になります。

急流救助とは

ベーシックな救助方法であるスローバックレスキュー。水に浮く特殊なロープを使用し、漂流者へ投擲します。思ったより難しいですよ。

急流救助(Swiftwater Rescue)は、急流や河川などで発生する救助活動を指します。
水の流れが速く複雑な河川では、予期せぬ事態に遭遇することがあります。このような状況での救助は、特殊な訓練と経験が必要とされます。

救助活動の内容は、漂流者の救出や保護、資器材の回収、危険な場所からの脱出などを目的として行われます。また、事前に適切な安全対策やリスクマネジメントを行うことで、事故や遭難のリスクを低減することも重要な要素です。救助活動はチームワークと適切な装備の使用が不可欠であり、できれば急流救助の訓練を受けた救助者が実施することが望ましいです。

講習内容

座学講習

  • 急流救助の心得
  • 流水のメカニズム
  • 救助に必要な装備
  • グループ救助の手順

実技講習

  • 河川での基本的泳法
  • スローバック救助
  • 動水圧体験
  • エディの体感と救助
  • ウェード(浅瀬でのアプローチ)

大別すると川で救助を要する2つの状況

流されている

川で流されている、流された場合です。
ライフジャケットを着ていれば、救助が必要な方は川を漂い続けますそうすると救助する地点は常に移動している形になります。着ていない場合は環境的に流れが速かったり、深かったりすると沈んでしまい、救助ではなく、捜索になってしまいます。
その場合は、我々の提供する講習ノウハウのほかに潜水技術が必要になってしまいます。いずれにせよ流されている救助を要する人を見つけたら一瞬の判断と行動が重要になります。

川に引っかかっている

川底や水面にある障害物に体などが引っかかってしまう現象です。イラストの様に足がひっかかる現象を専門的にはフットエントラップメント(足が罠にかかるという意味)と呼びます。一般的にはあまり知られていませんが、流れの中で障害物に捕捉されてしまうと体のいうことが聞かず、流水に体力を奪われたりして、最終的には溺れてしまいます。
この状況に陥った人を助けるのは非常に困難で、特殊な知識・技術と特殊な道具を必要とします。また発生からすぐの対処が必要です。

セルフレスキュー1st

何より大切なことはセルフレスキューファーストという概念です。救助を行う者は準備をし、自分の安全を確保しながら、スキルや練習の範囲内で救助を行う必要があります。「命を捨てて助ける」なんて美談ではありません。
ただし、救助隊以外で川での水難事故に関わる場合、大概、流された人の家族や関係者の場合が多く、"助けなきゃいけない""命に変えても助ける"といったマインドに陥ってしまいます。これはやむ得ないですが、厳しい言い方をすればダメです。
川での事故のうち2/3は助けに行った人という統計も出ています。
溺れを防止するにはライフジャケット、冷たい水にはウェットスーツ。道具には意味があり、正しい装備を正しく着用するのが前提です。
そこに川に関する正しい知識や技術をもった救助が成功する救助となります。
今回、受講いただいた66名の消防士さんの安全とご活躍を遠く離れた長瀞よりお祈りしております・

書いた人

平井 琢(タク)
レスキュー3インストラクター
消防や警察に急流救助講習を展開
アムスハウス&フレンズ代表

投稿者プロフィール

Taku
Taku
Rescue3(水難救助)インストラクター
ラフティング協会公認マスターガイド
川での事故を無くすために日々奮闘!